ケイマフリ

ケイマフリの名前の由来は、アイヌ語で「ケマフレ=赤い足」を意味する海鳥で世界中に数が減少しています。ケイマフリの繁殖が見られるのは国内では北海道の天売島や知床半島のウトロ周辺のみです。

2005年に世界自然遺産に登録され、ダイナミックな景観や数多くの野生動物が生息している知床半島は日本最後の秘境と呼ばれています。野生動物の楽園として知られ、知床といえば、ヒグマやエゾシカ、シロクマ、オオジロワシ、シマフクロウなど鳥獣類が独自の生態系を築いています。

そんな知床でここ最近注目されている海鳥が「ケイマフリ」です。ケイマフリの特徴は目の周りが白いことと、鮮やかな赤い脚。ケイマフリがウトロで見られるのは繁殖・子育てをおこなう時期だけです。ケイマフリは海に面した断崖の隙間や穴で繁殖をおこないます。

そのため、知床半島ウトロ周辺の断崖は羅臼岳の噴火によってできた溶岩や、流氷や荒波で長年かけて浸食された断崖地形が見られるため、ケイマフリの繁殖に適した環境となっています。

ケイマフリが繁殖のためにウトロにやってくるのは毎年3月から8月にかけてです。

産卵数は通常2個が多く、雄と雌が交代して卵をあたため、約30日でヒナが生れます。親鳥は交代で ヒナにイカナゴなどの餌を運び子育てを行います。ヒナの巣立ちは8月のお盆前後です。かわいいヒナの巣立ちを見たいとお思いでしょうが、ケイマフリは周囲を非常に警戒し、やがて巣立ちが行なわれるため人目に触れる事は本当に稀です。

ケイマフリは主にイカナゴなどの魚を食べていますが、ときにはカレイなど海底近くをおよぐ魚も捕らえます。

ケイマフリは餌を探すために海中に潜水し、まるで飛んでいるときのように翼を動かして泳ぎます。潜水能力はとても高く、ときには70mも潜ることができるそうです。ケイマフリは空を飛ぶ事も出来るし、海を泳ぐ事も出来る海鳥なのです。

またケイマフリは「フィッ・フィッ・ フィー・フィー」と、とても美しい声で鳴くので『海のカナリア』と呼ばれています。

自然豊かな知床でもケイマフリが見れるのはウトロだけです。ケイマフリを観察するのには気候が暖かくなる6月から8月半ば頃が最適です。

巣立ったケイマフリはウトロを離れ沖合に飛び去っていきます。

実は秋頃から春にかけてのケイマフリの繁殖期以外の生息場所についてはまだ良く解っていません。冬はやや移動し、北日本の海上で小さな群れをつくっているのがみられることがありますが、まだまだ謎多き海鳥なのです。

しかし毎年春になると、彼らは再び知床半島ウトロ周辺へ戻って来ます。

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