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シマフクロウ

【学名 Ketupa blakistoni フクロウ目 フクロウ科】
シマフクロウは、全長70cm羽を広げると180cmになる日本一大きなフクロウです。
地元では「コタンコムカムイ」(森を守護する神)や「カムイチカプ」(神である鳥)
と呼ばれ敬われている鳥でもあります。
主に魚やカエルなどを餌としており、主に北海道の北部・中部に生息、森に囲まれた河川や湖沼で生活
天然記念物です。フクロウというとミミズクと違い耳のない丸い顔を想像しがちですが、このシマフクロウはミミズクのように大きな耳を持っているのが特徴です。
鼻から耳にかけて白い毛のラインは眼光をより鋭くみせ、地元で「神」と崇められるだけあり
その風貌にはどことなく強い意志と威厳さえ感じられます。

シマフクロウは極東地域に狭い分布域を持ち北海道および国後島、択捉島、サハリンにも生息、広葉樹の大木の樹洞に営巣します。20世紀初頭までは北海道全域に分布していたのですが森林伐採により、営巣木の減少と河川改修や砂防ダム建設による餌の魚類の減少等により、現在は北海道部の知床、根室、日高地域にみられるようになりました。
生息数は約50つがい140羽(平成22年)で、絶滅の恐れが最も高い絶滅危惧種IA類に指定されています。
シマフクロウは寒冷地を好みます。別名Fish Owl ウオミミズクとも呼ばれています。
主食は魚ですので、冬には川が凍り付き魚を捕らえるのが難しくなります。そんな時は海岸にでて海の魚を捉えることもあるそうです。春先には産卵に備えて体力をつけるため大量発生するエゾ赤ガエルを食べるそうです。

フクロウという鳥は羽音がしない鳥(獲物を逃さないため)なのですがシマフクロウは飛ぶと音がします。
魚を主な餌としているので、羽音がしても獲物に逃げられる心配がないからだそうです。

シマフクロウの繁殖期は主に2~6月でこの間にカップルが誕生することから、夜の森には雄と雌が啼き交わす声が良く響きます。若鳥は鳴き声で相手探しをします雄同士の争いは激しく、場合によっては縄張りと伴侶の入れ替わりがおこります。一般的に太く大きな声で鳴く方がメスに気に入られ勝利をえるようです。

シマフクロウは一度に二つの卵しか産まないため、一度にたくさんの個体が増えるということがありません
そのため一羽一羽を大切に育てていくことが大切になってきます。
ヒナたちは2ケ月たたないうちに巣から出ていきます。しかし、この時期まだヒナはほとんど飛べません、地面におちると木をよじ登りようやく安全な場所にたどり着きます。
この頃が最も天敵であるキツネや野良犬に大変襲われやすいのです。近年では、アライグマが北海道に住み着くようになり一番の天敵になっているようです。日本にいないはずのアライグマを持ち込んだのは人間の責任、現在は調査パトロールを強化して排除に取り組んでいます。

ヒナたちは一年ほどすぎると親のなわばりからでていきます。旅立った若鳥は安全を確保しつつ子育てができる場所を探します。理想の場所を見つけてもたいていは別のシマフクロウの縄張りです。そう簡単に理想の場所はみつかりません。人の手で巣箱をかけたり、給餌池を作ってやることにより、シマフクロウの若鳥を守ってやる必要があるのです。
また、シマフクロウは人里離れて暮らす鳥ではないため交通事故で命を落とすことも少なくありません。

人間の都合により、住む場所を追われてしまいそのため個体数を減らしてしまった、シマフクロウ、その
雄大なる姿をこれからも残すために我々はできるだけのことをしていくことが大切でしょう。