北海道の絶滅危惧種

ホソミオツネントンボ
【トンボ目】【アオイトトンボ科】

“科”を見れば分かって頂けるかと思いますが、俗にいうイトトンボの一種。
私が子どもの頃、夏場に水やりをしていると、どこからともなく飛んできたのが思い出されるのですが、そういうえば、最近見かけない。というか、近頃トンボを見る事自体も少なくなってきたなと感じていたのですが、やはり数が減ってきているのです。
イトトンボの活動範囲は、その小さな身体から考えられない程広く、日本各地で数種類のイトトンボが生息しています。
ですが、イトトンボは環境汚染・水質汚染に敏感なものが多く、今回紹介するホソミオツネントンボも、『北海道レッドデータブック』によると、本州・四国・九州にも分布はありながら、北海道では日高地方の一部で確認されており、残念ながら北海道のレッドデータブック内で「絶滅危惧種」(絶滅の危機に瀕している種または亜種)とされています。

生き物の正式名称は意外と覚えづらいものが多いのですが、実は「細身な越年(おつねん=年を越す)とんぼ」という、そのままの意味を名前にしたもので、そう思えば覚えやすく、更に発音しやすくなってきます。
さて、そんなホソミオツネントンボの特徴はと言うと、夏に羽化し、雄雌同様に最初は枯れ草のよう茶色に身をやつしていますが、冬を越し、春に成虫となると綺麗な瑠璃色に変わります。背中の節目ごとに点々とついた模様が目印。

よく似た姿、よく似た名前で「オツネントンボ」という種類がいます。こちらも年を越すトンボではありますが、成虫となっても身体の色に変化はなく、目だけが瑠璃色に変わり、また、同じくある背中の模様も、注意深く見ると、全てつながっています。

こちらもまた、日本各地での分布がありながら、多数の各都府県でレッドリストに何らかのレベルで指定を受けています。

ホソミオツネントンボに限らず、イトトンボは、小さくて虫が苦手な私でもちょっとした好感さえ覚える可愛らしさがありますが、いつの間にか見なくなってしまった背景には、私達人間からしてみるとそれほど感じない変化でも、実は確実に水質汚染が日本各地で起きているのだと教えられます。

2,548 Responses to “北海道の絶滅危惧種”

Leave a Reply