キタサンショウウオ

 キタサンショウウオ

【両生類有尾目】【サンショウウオ科】

日本では北海道の釧路湿原のみに生息が確認されていますが、1795年には釧路市の天然記念物に登録されている程、実物を見る事はとても珍しく、専門家の間でも謎の多い生き物とされているそうです。
北海道にはよく似た日本固有種である「エゾサンショウウオ」も生息していますが、こちらは北海道全土に生息し、また今のところは留意種(=保護すべき種あるいは亜種であるものの、特に絶滅のおれはない)とされています。

キタサンショウウオの体長は12〜16センチ程度、身体の色は茶色で、背中にかけて黄色っぽい筋が入り、前足の指の数が4本ずつ。
対して、エゾサンショウウオは少し小さめで、身体もほぼ茶色の一色、前足の指は4本、後ろ足の指は5本。
両者は、他にも卵に違いがあり、エゾサンショウウオはカエルの卵のように無色透明ですが、キタサンショウウオの卵は薄く青みがかった透明、ブルーライトで照らすと光りだしそうな綺麗な色味をしています。

釧路湿原以外では、ロシアのサハリン・中国北東部・朝鮮民主主義人民共和国北部など、高緯度な土地が多く、冬眠中も−23度になっても数日は生きる事が出来るという、寒さに対する耐性の強さを持っているそうです。
また、生活する場所は、湿度が高い場所が適していて、そこでミミズやクモなどを食べ、オスは3年・メスは4年程かけて生体へと成長し、繁殖期になると水の中に入るようになるそうです。
両生類なのに、水の中に入るのが時期が限定されているとは、ちょっと驚きです。
一生が10年程度なのに、その殆どを陸の上で生活しているため、鳥やキツネが天敵となってしまいす。

ですが、キタサンショウウオがレッドデータリストの入っているのは、鳥やキツネのせいではないはずです。
年ごとに生む卵の個数にバラ付きがあったとしても、一度に100〜300個の卵を生む事に変わりなく、天敵に襲われたとしても、それは食物連鎖の範疇と言えるでしょう。

数が減り、珍しい生き物になってしまった原因は、道路工事などによる水位の変化や生息地の減少によるものです。
そう、つまり我々人間の生活のために被害を受けているのです。
「他の生き物の数を減らしてやろう」などと思っているわけではないのですが、とても残念な事です。
他の種を絶滅させて良いかどうかの権限を一体誰が持っているのでしょうか?他の生物でも言える事ですが、今以上に数が減り、“絶滅種”にならないためにも、まずはキタサンショウウオについて知る事が最初の一歩になるはずです。

 

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