ゼニガタアザラシ

 ゼニガタアザラシはアザラシ科ゴマフアザラシ属に属する海棲のほ乳類です。北太平洋や北大西洋の沿岸域に広く分布しており、日本では北海道の襟裳岬から根室半島にかけての沿岸域に生息しています。日本沿岸に定住する唯一のアザラシとしても知られます。

体長は1.9mほどあり、魚やミズダコなどを食べて生活しています。アザラシと言えばその愛くるしい姿から人気を得て、迷子になって川からひょっこり顔を出したりすると可愛がられることも多いのですが、可哀想なことにこのゼニガタアザラシは毛皮・肉・脂肪を採るために乱獲され、激減してしまいました。

以前は1500~4800頭ほど生息していたとされるゼニガタアザラシも、一時期は600~900頭まで減少したと言います。原因は乱獲、漁業の定置網に迷い込むことによる混獲、アザラシの上陸場の消滅、漁船や調査船による上陸の妨害、コンブ漁場確保のための岩礁爆破作業などが背景にあると指摘されています。

その後は研究者達を中心にゼニガタアザラシを国の天然記念物に指定するための運動が行われました。だんだんと文化庁や北海道教育庁の賛成を得て、ついに文化財保護審議会がゼニガタアザラシを天然記念物に指定するように文部大臣に答申しました。

しかし当時の漁業関係者の中ではゼニガタアザラシを漁業の害獣とみなす風潮が強かったため、地元の漁業関係団体からは威嚇射撃の容認、間引きの実施、漁業被害の補償などが要求されました。そのためゼニガタアザラシが天然記念物となることはありませんでした。保護は進むことなく、生息数は約350頭まで減少し、絶滅の危険に脅かされました。

しかしその後、ゼニガタアザラシと漁業の共存を目指していく活動が盛んになっていき再び関心が高まると、ゼニガタアザラシはレッドリストの絶滅危惧IB類に指定されました。個体数は少しずつですが増加の傾向を見せ、約900頭まで増えました。危惧のランクも絶滅危惧II類に引き下げられるなどし、奮闘しています。

しかし現在でも、混獲で漁網にかかり死亡するアザラシは多いそうです。その被害に遭うアザラシの内ほとんどが、ゼニガタアザラシだと言います。ランクが下がったからといってまだ油断はできない状況です。

普段なにげなく暮らしていると他の種族の現状について考える時間はほとんど0に等しいと思います。しかし同じ地球の中で暮らす者同士、広い視野を持って周りの生物に目を向けるのは大切なことだと思います。

近年では北海道旅行者に対する観光資源としてアザラシが注目されるようになりました。実際にアザラシを観察するウォッチングツアーは大人にも子供にも人気があります。ツアーに参加した人が、こんなに可愛い生物が絶滅の危機に立たされているのだということ、こんなに可愛くても漁業被害を発生させることもあるため問題は簡単ではないということ、まずはそんなことを感じてくれたら幸いです。

ちなみにわたしは北海道旅行はいつもジェイトリップツアーか近ツーさんんを使っています。近ツーさんは親の代からのご贔屓で電話一本でなんでもやってくれるので使ってます。ともに安くてホテルもまあまあなので便利です。ご紹介しておきます。
ジェイトリップツアー北海道旅行ページ
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 一つの生物が地球上からいなくなるというのはとても大きなことです。まずは多くの人が見て知って感じていくことが大事だと思います。

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