Archive for 2014

シマフクロウ

【学名 Ketupa blakistoni フクロウ目 フクロウ科】
シマフクロウは、全長70cm羽を広げると180cmになる日本一大きなフクロウです。
地元では「コタンコムカムイ」(森を守護する神)や「カムイチカプ」(神である鳥)
と呼ばれ敬われている鳥でもあります。
主に魚やカエルなどを餌としており、主に北海道の北部・中部に生息、森に囲まれた河川や湖沼で生活
天然記念物です。フクロウというとミミズクと違い耳のない丸い顔を想像しがちですが、このシマフクロウはミミズクのように大きな耳を持っているのが特徴です。
鼻から耳にかけて白い毛のラインは眼光をより鋭くみせ、地元で「神」と崇められるだけあり
その風貌にはどことなく強い意志と威厳さえ感じられます。

シマフクロウは極東地域に狭い分布域を持ち北海道および国後島、択捉島、サハリンにも生息、広葉樹の大木の樹洞に営巣します。20世紀初頭までは北海道全域に分布していたのですが森林伐採により、営巣木の減少と河川改修や砂防ダム建設による餌の魚類の減少等により、現在は北海道部の知床、根室、日高地域にみられるようになりました。
生息数は約50つがい140羽(平成22年)で、絶滅の恐れが最も高い絶滅危惧種IA類に指定されています。
シマフクロウは寒冷地を好みます。別名Fish Owl ウオミミズクとも呼ばれています。
主食は魚ですので、冬には川が凍り付き魚を捕らえるのが難しくなります。そんな時は海岸にでて海の魚を捉えることもあるそうです。春先には産卵に備えて体力をつけるため大量発生するエゾ赤ガエルを食べるそうです。

フクロウという鳥は羽音がしない鳥(獲物を逃さないため)なのですがシマフクロウは飛ぶと音がします。
魚を主な餌としているので、羽音がしても獲物に逃げられる心配がないからだそうです。

シマフクロウの繁殖期は主に2~6月でこの間にカップルが誕生することから、夜の森には雄と雌が啼き交わす声が良く響きます。若鳥は鳴き声で相手探しをします雄同士の争いは激しく、場合によっては縄張りと伴侶の入れ替わりがおこります。一般的に太く大きな声で鳴く方がメスに気に入られ勝利をえるようです。

シマフクロウは一度に二つの卵しか産まないため、一度にたくさんの個体が増えるということがありません
そのため一羽一羽を大切に育てていくことが大切になってきます。
ヒナたちは2ケ月たたないうちに巣から出ていきます。しかし、この時期まだヒナはほとんど飛べません、地面におちると木をよじ登りようやく安全な場所にたどり着きます。
この頃が最も天敵であるキツネや野良犬に大変襲われやすいのです。近年では、アライグマが北海道に住み着くようになり一番の天敵になっているようです。日本にいないはずのアライグマを持ち込んだのは人間の責任、現在は調査パトロールを強化して排除に取り組んでいます。

ヒナたちは一年ほどすぎると親のなわばりからでていきます。旅立った若鳥は安全を確保しつつ子育てができる場所を探します。理想の場所を見つけてもたいていは別のシマフクロウの縄張りです。そう簡単に理想の場所はみつかりません。人の手で巣箱をかけたり、給餌池を作ってやることにより、シマフクロウの若鳥を守ってやる必要があるのです。
また、シマフクロウは人里離れて暮らす鳥ではないため交通事故で命を落とすことも少なくありません。

人間の都合により、住む場所を追われてしまいそのため個体数を減らしてしまった、シマフクロウ、その
雄大なる姿をこれからも残すために我々はできるだけのことをしていくことが大切でしょう。

北海道の絶滅危惧種

ホソミオツネントンボ
【トンボ目】【アオイトトンボ科】

“科”を見れば分かって頂けるかと思いますが、俗にいうイトトンボの一種。
私が子どもの頃、夏場に水やりをしていると、どこからともなく飛んできたのが思い出されるのですが、そういうえば、最近見かけない。というか、近頃トンボを見る事自体も少なくなってきたなと感じていたのですが、やはり数が減ってきているのです。
イトトンボの活動範囲は、その小さな身体から考えられない程広く、日本各地で数種類のイトトンボが生息しています。
ですが、イトトンボは環境汚染・水質汚染に敏感なものが多く、今回紹介するホソミオツネントンボも、『北海道レッドデータブック』によると、本州・四国・九州にも分布はありながら、北海道では日高地方の一部で確認されており、残念ながら北海道のレッドデータブック内で「絶滅危惧種」(絶滅の危機に瀕している種または亜種)とされています。

生き物の正式名称は意外と覚えづらいものが多いのですが、実は「細身な越年(おつねん=年を越す)とんぼ」という、そのままの意味を名前にしたもので、そう思えば覚えやすく、更に発音しやすくなってきます。
さて、そんなホソミオツネントンボの特徴はと言うと、夏に羽化し、雄雌同様に最初は枯れ草のよう茶色に身をやつしていますが、冬を越し、春に成虫となると綺麗な瑠璃色に変わります。背中の節目ごとに点々とついた模様が目印。

よく似た姿、よく似た名前で「オツネントンボ」という種類がいます。こちらも年を越すトンボではありますが、成虫となっても身体の色に変化はなく、目だけが瑠璃色に変わり、また、同じくある背中の模様も、注意深く見ると、全てつながっています。

こちらもまた、日本各地での分布がありながら、多数の各都府県でレッドリストに何らかのレベルで指定を受けています。

ホソミオツネントンボに限らず、イトトンボは、小さくて虫が苦手な私でもちょっとした好感さえ覚える可愛らしさがありますが、いつの間にか見なくなってしまった背景には、私達人間からしてみるとそれほど感じない変化でも、実は確実に水質汚染が日本各地で起きているのだと教えられます。

キタサンショウウオ

 キタサンショウウオ

【両生類有尾目】【サンショウウオ科】

日本では北海道の釧路湿原のみに生息が確認されていますが、1795年には釧路市の天然記念物に登録されている程、実物を見る事はとても珍しく、専門家の間でも謎の多い生き物とされているそうです。
北海道にはよく似た日本固有種である「エゾサンショウウオ」も生息していますが、こちらは北海道全土に生息し、また今のところは留意種(=保護すべき種あるいは亜種であるものの、特に絶滅のおれはない)とされています。

キタサンショウウオの体長は12〜16センチ程度、身体の色は茶色で、背中にかけて黄色っぽい筋が入り、前足の指の数が4本ずつ。
対して、エゾサンショウウオは少し小さめで、身体もほぼ茶色の一色、前足の指は4本、後ろ足の指は5本。
両者は、他にも卵に違いがあり、エゾサンショウウオはカエルの卵のように無色透明ですが、キタサンショウウオの卵は薄く青みがかった透明、ブルーライトで照らすと光りだしそうな綺麗な色味をしています。

釧路湿原以外では、ロシアのサハリン・中国北東部・朝鮮民主主義人民共和国北部など、高緯度な土地が多く、冬眠中も−23度になっても数日は生きる事が出来るという、寒さに対する耐性の強さを持っているそうです。
また、生活する場所は、湿度が高い場所が適していて、そこでミミズやクモなどを食べ、オスは3年・メスは4年程かけて生体へと成長し、繁殖期になると水の中に入るようになるそうです。
両生類なのに、水の中に入るのが時期が限定されているとは、ちょっと驚きです。
一生が10年程度なのに、その殆どを陸の上で生活しているため、鳥やキツネが天敵となってしまいす。

ですが、キタサンショウウオがレッドデータリストの入っているのは、鳥やキツネのせいではないはずです。
年ごとに生む卵の個数にバラ付きがあったとしても、一度に100〜300個の卵を生む事に変わりなく、天敵に襲われたとしても、それは食物連鎖の範疇と言えるでしょう。

数が減り、珍しい生き物になってしまった原因は、道路工事などによる水位の変化や生息地の減少によるものです。
そう、つまり我々人間の生活のために被害を受けているのです。
「他の生き物の数を減らしてやろう」などと思っているわけではないのですが、とても残念な事です。
他の種を絶滅させて良いかどうかの権限を一体誰が持っているのでしょうか?他の生物でも言える事ですが、今以上に数が減り、“絶滅種”にならないためにも、まずはキタサンショウウオについて知る事が最初の一歩になるはずです。

 

エゾノクサタチバナ

 私、この花が好きなんです。エゾノクサタチバナ。珍しい緑色の花です。

あれは幼稚園の頃、みんなで塗り絵をしていたんです。当時の私のお気に入りはカラフルだったので、お父さんの顔もお母さんの顔もピンクや水色で塗っていたんですが、私は沢山ある花を全部別々の色で塗ったんです。色鉛筆を順番に使って、緑や茶色、黒も使って花を塗りました。

すると当時好きだった女の子が寄ってきて「このお花、変なのー」と緑の花を指差したんです。周りの友達も「ほんとだ、変なのー」と言い始めました。でも茶色の花は「枯れてるだけだから変じゃない」という評価を受けました。

別にたいしたことじゃないんですが、なんか恥ずかしかったし、ショックだったので覚えていました。

 その数年後、もう一回同じようなことがありました。小学生の頃、図工で花の絵を描いたんです。その時に、私は輪郭を緑色の絵の具で描いていました。茎とか葉っぱはそのまま一本の線で表せるから。それで花の輪郭も緑で描いていて、ある時細かく描きすぎて塗り潰しちゃったんです。

 で、まあ普通に塗ったことにすればいいやと思って描き進めていったら、やはり言われたんです。今度は先生に。「ここは緑じゃないでしょう」と。

 でもその時既に私はエゾノクサタチバナを知っていたので、直しませんでした。なんか子供の頃のこういう記憶って不思議ですよね。どうでもいいことなのに、なんだか無性にこだわっちゃったりして……。

 そんな思い出から、エゾノクサタチバナは思い入れのある花なんです。でも絶滅危惧種になっているなんて知りませんでした。道内の大部分の生育地で、生育条件が悪化しつつあるようです。

 東京では育たなかったという話も聞いたので、もしかしたら生育条件が厳しいのかもしれません。気候の問題かもしれないけれど、やはり北海道で力を上げて取り組むべき問題のようです。

この花は、日本では日高山系、夕張山系、狩場山系、阿寒山系、渡島に分布しています。あとは海岸沿いの原生花園でも見られるそうですよ。

ちなみに原生花園とは人為的な手を加えず、自然をそのままにした状態でも色鮮やかな花が咲く湿地帯や草原地帯のことです。自然のお花畑とも言える場所で、独特の植生が見られます。そのため北海道旅行客にとっては目新しく、関心を引くこともしばしばです。

 星型の花はチャームポイントで、エゾノクサタチバナが属するガガイモ科のものによく見られます。同じ星型の花を付ける植物にカモメヅルがありますが、こちらは紫色なので印象が異なってきます。

 エゾノクサタチバナの花は7月に咲きますが、夏に星型の花を咲かせるなんて、なかなか季節感のある植物だなと思います。これだけ聞くと南国の花のようなイメージを与えるかもしれませんが、実物を見ると、とても素朴な優しい雰囲気の花で、いかにも北国という感じがします。

 名前は「タチバナ」と付きますが、これは見た目が似ていることから付けられただけで、特に関係性はありません。

 

リシリヒナゲシ

近年、環境問題が騒がれるようになってから「レッドデータブック」という言葉も耳にするようになりました。これは絶滅の恐れのある野生生物の種をリストアップし、その生息状況を解説した資料のことです。

1966年に国際自然保護連合(IUCN)が絶滅の恐れのある野生生物のリストを刊行し、その後世界各国で国内版のレッドデータブックが作られました。

 このデータブックには哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫類など様々な動物の他に、植物もピックアップされています。今回はその中から、北海道の植物を紹介したいと思います。

 リシリヒナゲシという花は、「IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」である「絶滅危惧IB類(EN)」に登録されています。

 

 これまで動物の絶滅危惧種に焦点を当て、いくつかの生物を紹介しましたがそのほとんどが、ペットとして個人で飼うことのできない動物でした。そのため絶滅の危機にあるからといって、自宅で繁殖、というわけにもいかず、支援活動はできても実際の繁殖や飼育は専門家に任せるしかない状況でした。

 

 しかし植物となると話は別で、特別なものを除けばタネを販売元から入手し、自宅で育てていくことができます。たとえ万が一にも自生するものがなくなってしまっても、支援者が頑張ればその種を繋いでいくことができるのです。そう考えると、広い範囲で多くの人が同時に協力できるので、問題は解決しそうな気がします。

 

 しかし、大事なのはただその花が咲いていることだけではなく、やはり自生するものがあるかどうかなのです。そもそも、本来そこにあるべきものが自生できなくなるということは、環境が悪くなった、もしくは種の方に異変が発生したということです。その時点で問題は深刻です。

 

 このリシリヒナゲシも、自生のものは利尻山の山頂付近にしかありません。利尻山とは北海道北部、日本海上に浮かぶほぼ円形の利尻島にある山です。

 

日本最北の島に美しい姿を見せる利尻山は別名「利尻富士」とも呼ばれます。山頂からの景色をさえぎるものは何もなく、360℃の大パノラマが楽しめます。日本百名山百選にも選ばれているので、北海道旅行で立ち寄るにもおすすめです。遠くの景色を堪能したら、足元の小さな花にも注目してみて下さいね。

 

リシリヒナゲシはケシ科ケシ属の多年草、利尻島の固有種であり、日本に自生する唯一のケシの仲間です。野生のヒナゲシは世界で唯一種、とも言われます。

 

透き通るような黄色い花は繊細で、守ってあげたくなるような雰囲気を出しています。いや、本当に守っていかなきゃいけないところなんですけどね……。

 

幸いなことにタネがつき、よく増える種なので、島の平地のあちこちでも観光用に咲かせています。よってその姿は至るところで見受けられますが、自生のものが絶滅の危機に瀕していることは忘れてはいけません。

 草丈は10cm~20cmくらいです。茎先に黄色い4弁花を1輪つけますが、それは薄く可憐な印象を与えます。北海道の雰囲気にぴったりの可愛らしい花なので、この花の住める環境を守り続けたいと思います。

イトウ

まるで人の名前のようなイトウ。漢字で書くと伊富魚だそうです。また「魚偏に鬼」と書いてイトウと読むという話も聞きますよね。でも辞書にもパソコンの文字にも「魚鬼」という字は載っていませんでした。鬼のような魚……なんか少しカッコいいですけどね。

さてこのイトウは、日本では北海道にのみ生息しています。昔は青森など本州北部にも分布していたそうですが、今は北海道の道北や道東の湿地帯の河川や湖沼などに生息するのみです。北海道の南限として道央の尻別川にも生息しているらしいのですが、個体数の減っている現在、どれだけの数が生存しているかは不明です。

イトウは汽水・淡水魚類サケ目サケ科です。そう、サケの仲間なんですね。しかし産卵を終えると死んでしまうサケに対し、イトウは15~20年以上生きて繰り返し卵を産みます。産卵時期にオスは、えらの後ろから尾びれにかけ、とても美しい朱色になることは有名な話です。

イトウは川の上で産卵するため、毎年上流と下流を行き来しなければなりません。それを一生にうちに何度も繰り返すとなると大変なことですね。

生まれてから2年ほどは周辺の地で、林のある曲がりくねった川の岸寄りに住んでいます。特に、浅く流れの緩やかな場所が必要です。成長後は河口近くや下流の深い淵で他の魚を食べて暮らすようになります。

 しかし、至る所で川の直線化工事や、ダムの建設工事、大きな堰を造る工事が行われました。すると川の流れが急になるなどの変化が起き、イトウの生息地はたちまち減ってしまい、産卵場所にも辿り着けない状況が出てきました。そうして北海道のどこにでも、いつでも沢山いるような親しみ深い魚だったイトウが、絶滅の危機にさらされることとなってしまったのです。

イトウは川や湖で生きる淡水魚としては国内最大サイズで、過去に体長2.15m、約26kgの巨大イトウが捕獲されたこともあります。あの顔で2m以上あったら怖いと思うんですが……(笑)

歯は鋭く、アゴの力が強いため小魚やカエル、ヘビなどを食べることもあると言われます。

こんな強そうな魚ですら、急激な環境変化には耐えられないということです。川や湖などの「主」と呼ばれたイトウが、本当に幻になってしまうのは非常に残念です。そうさせないためにも、これ以上の環境破壊を起こさないことと、メーター越えにこだわって乱獲をしないことです。

巨大なイトウは釣り人にとって伝説であり、夢や憧れであり、ライバルです。私も北海道に住む者として、釣りをする時は巨大イトウを狙いたいと考えていました。北海道旅行に来た友人も、せっかくこの地に来たからにはイトウに出会えないかと観光そっちのけで釣りに行っていました。

しかし、それは健康な環境状態の中に、豊富なイトウがあってこその話です。現在のこの貴重なイトウに手を出すのではなく、イトウの危機を救った後、この北海道の地に沢山泳ぎまわるイトウと勝負がしたいものです。

ガタタン

芦別の名物料理でボリューム満点のとろみのついたスープです。フキ、タケノコ、シイタケ、イカ、肉、白玉団子など十数種類の具材がたっぷりで、鶏がらスープやとんこつスープにとろみをつけたものです。

戦後旧満州から芦別に引き揚げて来た村井豊後之亮(ぶんごのすけ)さん(故人)が中華料理店「幸楽」で出したのが始まりだとか。中国の家庭料理をヒントに創作したものだそうです。最近は、ガタタンラーメンなどのアレンジメニューも多数登場しています

■材料(2人分)
・鶏がらスープ 1リットル
・塩 小さじ2
・しょう油 小さじ2
・こしょう 適量・水溶き片栗粉 適量
・ふき 50g
・たけのこ 100g
・しいたけ 2枚
・いかげそ 1杯分
・豚肉 100g
・きくらげ 適量
・ちくわ 1本
・えび 4本
・豆腐 1/2丁
・卵 2個
・小麦粉団子 適量

■作り方
①具材は全て食べやすい大きさに切ります。
②鍋に鶏がらスープを入れて煮立てます。
③小麦粉団子を加えて煮ます。
④具材を全て加えて煮込みます。
⑤塩、しょう油、こしょうを加えて混ぜます。
⑥溶き卵を加えます。
⑦水溶き片栗粉を加えて混ぜれば出来上がり。