Archive for 2015

ウミガラス

ウミガラス

ウミガラスはチドリ目・ウミスズメ科に分類される海鳥の一種で、鳴き声が「オロロン」とか「オロオロオロ」と聞こえたことから「オロロン鳥」とも呼ばれています。
体長は約40cm、体重は約1160gと、ウミスズメ科の中では最大で、背中の部分は黒く、お腹の部分が白い。
くちばしは長く、翼も尾も短い。脚が尾の近くにあって、陸上を歩く姿はペンギンに似ていてとても愛らしい。けれど、実は陸上を歩くのが苦手だったりします。

ペンギンに似た姿をしていても、ペンギンと違って空を飛ぶことができます。空を飛ぶ時は、短い翼を高速で羽ばたかせ海面の近くを飛びます。

水中を潜るのは上手で、水深50mを約3分潜水できたり、最深記録は約180mにもなります。巧みに潜水してはイカ、シシャモ、稚魚、イカナゴ、カジカ、ギンポなどを捕まえてエサとしています。
ウミガラス水中

繁殖期には、無人島や陸生の捕食者が近づけないような崖や崖の上に集団で繁殖地を作るのですが、巣は作らず岩や土の上に直接1個の卵を産みます。転がっていかないか心配になってしまいますが、卵は「セイヨウナシ型」と呼ばれる一端が尖った形をしていて、転がってもその場で円を描くように転がるため断崖から落ちにくいようになっているのです。それにもし、卵がなくなってしまっても一度だけ産みなおすことができるのだとか・・・。
繁殖開始年齢は平均5歳で、それから約20年は繁殖をします。
ウミガラス卵

生まれたヒナは生後平均21日間は繁殖地にとどまり、親鳥の半分くらいの大きさになったらまだ飛べないうちから巣立ちし、その後約2か月は海上で親鳥の保護を受けながら成長していきます。

 

かつては北海道羽幌町天売島や、松前町渡島小島、ユルリ島、モユルリ島などで繁殖していましたが、今では天売島だけとなりました。
1938年には約40,000羽以上いましたが、2002年には13羽にまで減り、近い将来に絶滅してしまう危険性がすごく高くなっています。

ここまで数が減ってしまった原因は、漁網による混獲、観光による影響、捕食者の増加、エサ資源の減少などではないかと言われています。
1960年代から70年代にかけて盛んに行われたサケ・マス流し網漁業による混獲でたくさんのウミガラスが犠牲となりました。それ以前にもニシンの乱獲によって凶漁となった時期、ウミガラスが激減した時期と一致しています。
魚類を捕りすぎてしまった結果、魚をエサとする海鳥や海獣も食糧難となりその数が減ってしまいました。
他にもウミガラスの天敵であるオオセグロカモメやハシブトガラスが増え、卵や雛が捕食されやすくなっってしまったことなどが原因にあります。

このまま絶滅してしまわないように、デコイという鳥の模型や音声装置を設置して鳴き声を流して繁殖個体の誘引等を行ったり、生息状況のモニタリングなどの対策を行っています。少しずつですがヒナの巣立ちに成功するようにもなりました。
こうした活動が絶滅を食い止める大きな一歩となったのでないでしょうか。

またいつの日かウミガラスの群れが羽ばたく姿を見れる日が来てほしいですね。

かつての天売島

絶滅危惧種・水中編

北海道には、残念ながら既に絶滅してしまった生き物や絶滅の危機にさらされているものたちが意外にもたくさんいるんですよ~。その原因も様々ですが、年々過酷になっている地球温暖化や汚染されているのが大きな原因となっています。
今まで当たり前に生きていた、生物たちがいなくなるということは、その分困ってしまう生き物たちがいるということ。。。
今後どのようになっていくのか、考えてみると恐いんですよ!!

絶滅危惧種も、動物から植物までたくさんあるのですが、今回はその中でも、水の中の生き物たちを紹介したいと思います。

まずは、世界三大珍味でも有名な“キャビア”でお馴染みの「チョウザメ」
元々北海道にいたチョウザメは、「ミカドチョウザメ」と「ダウリアチョウザメ」の2種とされているのですが、現在では、絶滅したのではないかといわれて噂になっているんですよ(^^;この生き物は、とても長生きをすることで有名!!
なんと最高年齢は153歳とも言われているんだそう。。。凄いですよね!!人間よりも遥かに長い年数生きているものもいるだなんて。。。そして、大きいもので体長8m・体重2tにもなるんだそう。

絶滅したのでは?と言われてはいますが、稀に今でも沿岸や河口付近で捕獲されることがあるので、安心してくださいね^^
急激な数の減少の原因は、やはり河畔林の減少や河川環境らしいです。少しでも綺麗な状態を保っていないと、いずれ絶滅してしまう日が来ると思うと、悲しくなりますよね。。。そうなるとキャビアは、さらに貴重な食べ物となることでしょう。

次に「エゾホトケドジョウ」
全長は7㎝と小柄な生き物。体の形や口・ひげ・しっぽなどが「ホトケドジョウ」によく似ているのも特徴の一つ。
体の色は、黄褐色または青褐色で、小さな暗色点がたくさんあります。オスは大人になっても5~6㎝ほどにしかならないのに比べて、メスは、全長10㎝程になるものもいるんだそうですよ~^^見た目的にも地味な生き物ながら、よく見てみると可愛らしいんです^^このような生き物たちの為にも、海の中の汚染を食い止めなければいけないと、改めて考えさせられます!!

最後に「シロウオ」
名前はシロウオなのですが、実際見てみるとほぼ綺麗な透明なんですよ~^^うきぶくろや脊椎なども透けて見える程!!
全長は5㎝程で群れで泳いでいる姿がなんとも可愛らしい生き物です。死んでしまうと透明だった体は白く濁って体内の構造が見えなくなるというのも特徴的。オス・メスの区別も、腹部に黒い点が1列に並ぶのがメスなので、わかりやすいんですよ~。

このようなかけがえのない生き物たちを守るために、少しでも環境を良くしていかなければ、私たちの生活にも今後大きな影響が出てくることでしょう。

石狩西部のエゾヒグマ

エゾヒグマは、ネコ目(食肉目)クマ科クマ亜科クマ属に分類されるヒグマの亜種で、北海道に生息するクマです。日本に生息する陸上動物としては最大の動物になります。
北海道の森林および原野に分布し、夏季から秋季にかけての時期は、中山帯と高山帯にも活動領域を広げています。江戸時代末期から明治時代初期にかけては、人が多い地域を除けば、北海道全域が生息域であったようです。
大きさはオスとメスとで異なり、オスの方が大きいのが特徴です。
【体長】オス約1.9 ~ 2.3m、メス約1.6 ~ 1.8m。

【体重】オス約120 ~ 250kg、メス約150 ~160kg。

【毛色】褐色から黒色まで個体により様々で、色合いごとに名称が付けられています。夏毛は刺毛で構成され、冬毛は刺毛と綿毛で構成されています。
「金毛」・・・黄褐色系の個体
「銀毛」・・・白色系の個体
「月の輪」・・・頸部や前胸部に長方形様の白色がある個体

【行動】発情期と子育て期以外は単独行動。

【活動期間】春から晩秋・初冬にかけての期間。餌となる植物を得られない残雪や積雪の多い地域にはおらず、植物を採食できる地域に移動します。

【繁殖】発情期は初夏から夏にかけての期間。妊娠期間は約8ヶ月間で、翌年の越冬期間中に巣穴で出産します。産仔数は1 ~ 3頭で、子育てはメスだけで行います。
越冬期間中に出産と母乳による子育てをするため、春になって巣穴から出る頃には、母グマの体重は約30%減少しています。

【新生子】視力や歯などがなく、生後6週目に聴力を得て、7週目に視力を得ます。生後4ヶ月で乳歯が生え、母グマと同じものを食べるようになります。
1 ~ 2歳になると親離れをし、4 ~ 5歳で繁殖できるようになります。
「ビャー」「ピャー」「ギャー」などと鳴き声を発します。

【冬籠り】巣穴に籠る時期は晩秋から初冬にかけての期間。他の個体が前回の越冬に使用した穴を使用することもありますが、基本山の斜面に横穴を掘ります。

【食性】木の実魚類節足動物エゾシカ農作物哺乳類など非常に多様性に富んだ雑食性。

【鳴き声】相手を威嚇する時に「ウオー」「グオー」「フー」などの鳴き声を発声。鳴き声以外にも歯を鳴らしたり、足で地面を擦るなどして威嚇します。

【寿命】メスで最高30歳前後、雄は25~28歳。

生息域の縮小と環境の悪化、過剰な捕殺が衰退をまねき、エゾヒグマの将来は明るいものではありません。
街におりてきたクマに襲われると言う被害も少なくありませんが、本来クマが居るべき場所で生きていける為に、何が大切で何が必要かを、私たち人間がもっと考える必要があります。
この青い地球で、ともに生きて行けるために・・・

ケイマフリ

ケイマフリの名前の由来は、アイヌ語で「ケマフレ=赤い足」を意味する海鳥で世界中に数が減少しています。ケイマフリの繁殖が見られるのは国内では北海道の天売島や知床半島のウトロ周辺のみです。

2005年に世界自然遺産に登録され、ダイナミックな景観や数多くの野生動物が生息している知床半島は日本最後の秘境と呼ばれています。野生動物の楽園として知られ、知床といえば、ヒグマやエゾシカ、シロクマ、オオジロワシ、シマフクロウなど鳥獣類が独自の生態系を築いています。

そんな知床でここ最近注目されている海鳥が「ケイマフリ」です。ケイマフリの特徴は目の周りが白いことと、鮮やかな赤い脚。ケイマフリがウトロで見られるのは繁殖・子育てをおこなう時期だけです。ケイマフリは海に面した断崖の隙間や穴で繁殖をおこないます。

そのため、知床半島ウトロ周辺の断崖は羅臼岳の噴火によってできた溶岩や、流氷や荒波で長年かけて浸食された断崖地形が見られるため、ケイマフリの繁殖に適した環境となっています。

ケイマフリが繁殖のためにウトロにやってくるのは毎年3月から8月にかけてです。

産卵数は通常2個が多く、雄と雌が交代して卵をあたため、約30日でヒナが生れます。親鳥は交代で ヒナにイカナゴなどの餌を運び子育てを行います。ヒナの巣立ちは8月のお盆前後です。かわいいヒナの巣立ちを見たいとお思いでしょうが、ケイマフリは周囲を非常に警戒し、やがて巣立ちが行なわれるため人目に触れる事は本当に稀です。

ケイマフリは主にイカナゴなどの魚を食べていますが、ときにはカレイなど海底近くをおよぐ魚も捕らえます。

ケイマフリは餌を探すために海中に潜水し、まるで飛んでいるときのように翼を動かして泳ぎます。潜水能力はとても高く、ときには70mも潜ることができるそうです。ケイマフリは空を飛ぶ事も出来るし、海を泳ぐ事も出来る海鳥なのです。

またケイマフリは「フィッ・フィッ・ フィー・フィー」と、とても美しい声で鳴くので『海のカナリア』と呼ばれています。

自然豊かな知床でもケイマフリが見れるのはウトロだけです。ケイマフリを観察するのには気候が暖かくなる6月から8月半ば頃が最適です。

巣立ったケイマフリはウトロを離れ沖合に飛び去っていきます。

実は秋頃から春にかけてのケイマフリの繁殖期以外の生息場所についてはまだ良く解っていません。冬はやや移動し、北日本の海上で小さな群れをつくっているのがみられることがありますが、まだまだ謎多き海鳥なのです。

しかし毎年春になると、彼らは再び知床半島ウトロ周辺へ戻って来ます。

エゾオコジョ

体の大きさが14~20cm位の小さなイタチの仲間。

オコジョ自体はユーラシア北部、北アメリカにも生息、北海道に生息しているものは「エゾオコジョ」といわれ主に上川に生息、別名をエゾイタチともいいます。
体は夏の間はチョコレート色で冬になると保護色の真っ白に毛の色が変わります。
ネズミを餌とするが時々自分より大きなウサギやライチョウも食べることもあります。
近年は山岳地帯でしか見られなくなってしまいました。イタチの仲間ですが、イタチよりも小さくどちらかというとフェレットやミンクに近い風貌です。動物園で何度か見かけたことがありますが、二本足で直立不動するすがたはプレーリードックを彷彿とさせる愛らしさですね。

可愛らしい見た目とは違い気性は非常に気性が荒いことでも知られています。
森林、草原、人家のちかくなど様々な環境におりコケや草を敷き詰めた巣をつくる主に夜行性、単独で生活し、主に岩や樹根のすきまに営巣したりネズミの巣穴を乗っ取って自分のモノにすることもあるようです。動きはきわめて敏速で木登りや泳ぎも得意です。
現在日本ではオコジョは捕獲禁止となっているのに、何故オコジョの個体数が減ってしまったのでしょうか?

昔からオコジョは、毛皮として重宝されアーミン(特に冬毛のもの)とよばれ高級品でした、ヨーロッパでは長らく王族の象徴とされてきたといいます。オコジョの毛皮をいくつも並べ一枚にぬいあわせガウンの下地などに
好んで用いたというから贅沢なお話です。
日本に毛皮ブームが起きたときに一気に増えた生産量を賄おうとミンクを移入、その一部が野生化しエゾオコジョの生態系に影響を与え、ミンクによりエゾオコジョの餌は奪われてしまいました、さらに追い打ちをかけるかのように森林伐採により生活する場も奪われていったのです。

一時的なファッションブームにより一つの種が絶滅の危機に瀕している、という事実はオコジョだけでなく種が減ることにより生態系、自然界に与える影響もすくなくはありません。
現在毛皮を規制する動きもありますが、需要がなくなったわけではありません。
冬毛の白いオコジョはマスコットにもよく使われ、アニメや漫画にも度々登場するなど、その愛らしい姿に人気が集まっているといいます。愛らしいオコジョの姿を後世に残すためにも、我々、はブームという一時的な経済活動のために一つの命を犠牲にしている自覚をすべきでしょう。

学名 Mustela ermimea

食肉目(ネコ目)イタチ科