タンチョウ

昔、近所の友達の家で飼われていた亀が、友達の生まれる前からずっと生きているという話を聞いて、本当に亀は万年生きるのかとわくわくしたことがありました。今でもその亀は友達の家の玄関にいるので、本当に万年生きてほしいなと願っています。

 さて、亀と一緒に語られるのが「鶴」ですね。鶴は千年……と言いますが、実際のところはどうなんでしょう。どうやら実際の平均寿命は40年程だそうです。昔抱いた憧れからすると短く感じますが、他の生物に比べると比較的長いですよね。

人間の寿命も昔はそのくらいでしたから、自分が幼い頃からずーっと生きている鶴の姿を見たら、万年生きる、と言いたくなるのも不思議じゃないですね。

 そんな長生きの鶴ですが、絶滅の危機はここにも迫って来ています。北海道に生息するタンチョウという種の鶴が、存続を危ぶまれているのです。

 タンチョウは丹頂と書き、その名の通り頭頂部が赤い大型のツルです。昔話の紙芝居や絵本に出てくる鶴をイメージして頂くとわかりやすいかもしれません。とか言って逆にわかりづらかったらすみません……。

さてタンチョウは、「北海道郡」「ユーラシア大陸郡」の2つに分かれています。「北海道群」のタンチョウは留鳥で根釧地方を中心に、同一地域に留まります。一方、「大陸群」のタンチョウは、大陸内を南北に最長2,000kmの渡りをします。円山動物園にはオス・メスともに北海道群由来のタンチョウがいます。これなら遠くへ飛んでいってしまうことはありませんね。

北海道群のタンチョウは一時、生息数が激減して絶滅寸前のところまでいきました。『レッドデータブック(IUCN版)』、『レッドデータブック(環境省版)』、『ワシントン条約附属書1.』にそれぞれ記載され、油断の許されない状況となりました。

そこから多くの人が熱心に保護活動を続けたおかげで現在は少し持ち直し、個体数は約800羽を越えるまでに回復しました。

タンチョウ激減の原因は、生息地の湿原が大規模に開発されたことでした。タンチョウは今、北海道東部の釧路湿原などに生息していますが、今後その地に開発計画が立たないとは言いきれません。そうなってしまった時どういう対処をするのか、どういう生物にどんな影響が出るのかきちんと考えることで、歴史の過ちを繰り返さないよう気を付けなければならないと思います。

特別天然記念物に指定されているタンチョウですが、円山動物円の他に、釧路市動物園でも見ることができます。どちらも北海道旅行客や家族連れで賑わう楽しい動物園なので、気軽に遊びに行くことができますよ。

タンチョウの魅力と言えば長いクチバシ、きれいな白い羽が挙げられます。全長1.4mと大型の鶴なので、すっと長い足の動きも優美ですよ。さっきも言いましたが、私、頭の赤い鶴は昔話のイメージが強くて、なんだかタンチョウを見ていると鶴の恩返しを連想してしまいます。ちょうど儚いイメージもかさなりますし……。

ちなみに交尾、産卵期になると鳴き声を聞くこともできます。食べるのは種子、水生昆虫、小魚などだそうです。

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