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絶滅危惧種・水中編

北海道には、残念ながら既に絶滅してしまった生き物や絶滅の危機にさらされているものたちが意外にもたくさんいるんですよ~。その原因も様々ですが、年々過酷になっている地球温暖化や汚染されているのが大きな原因となっています。
今まで当たり前に生きていた、生物たちがいなくなるということは、その分困ってしまう生き物たちがいるということ。。。
今後どのようになっていくのか、考えてみると恐いんですよ!!

絶滅危惧種も、動物から植物までたくさんあるのですが、今回はその中でも、水の中の生き物たちを紹介したいと思います。

まずは、世界三大珍味でも有名な“キャビア”でお馴染みの「チョウザメ」
元々北海道にいたチョウザメは、「ミカドチョウザメ」と「ダウリアチョウザメ」の2種とされているのですが、現在では、絶滅したのではないかといわれて噂になっているんですよ(^^;この生き物は、とても長生きをすることで有名!!
なんと最高年齢は153歳とも言われているんだそう。。。凄いですよね!!人間よりも遥かに長い年数生きているものもいるだなんて。。。そして、大きいもので体長8m・体重2tにもなるんだそう。

絶滅したのでは?と言われてはいますが、稀に今でも沿岸や河口付近で捕獲されることがあるので、安心してくださいね^^
急激な数の減少の原因は、やはり河畔林の減少や河川環境らしいです。少しでも綺麗な状態を保っていないと、いずれ絶滅してしまう日が来ると思うと、悲しくなりますよね。。。そうなるとキャビアは、さらに貴重な食べ物となることでしょう。

次に「エゾホトケドジョウ」
全長は7㎝と小柄な生き物。体の形や口・ひげ・しっぽなどが「ホトケドジョウ」によく似ているのも特徴の一つ。
体の色は、黄褐色または青褐色で、小さな暗色点がたくさんあります。オスは大人になっても5~6㎝ほどにしかならないのに比べて、メスは、全長10㎝程になるものもいるんだそうですよ~^^見た目的にも地味な生き物ながら、よく見てみると可愛らしいんです^^このような生き物たちの為にも、海の中の汚染を食い止めなければいけないと、改めて考えさせられます!!

最後に「シロウオ」
名前はシロウオなのですが、実際見てみるとほぼ綺麗な透明なんですよ~^^うきぶくろや脊椎なども透けて見える程!!
全長は5㎝程で群れで泳いでいる姿がなんとも可愛らしい生き物です。死んでしまうと透明だった体は白く濁って体内の構造が見えなくなるというのも特徴的。オス・メスの区別も、腹部に黒い点が1列に並ぶのがメスなので、わかりやすいんですよ~。

このようなかけがえのない生き物たちを守るために、少しでも環境を良くしていかなければ、私たちの生活にも今後大きな影響が出てくることでしょう。

石狩西部のエゾヒグマ

エゾヒグマは、ネコ目(食肉目)クマ科クマ亜科クマ属に分類されるヒグマの亜種で、北海道に生息するクマです。日本に生息する陸上動物としては最大の動物になります。
北海道の森林および原野に分布し、夏季から秋季にかけての時期は、中山帯と高山帯にも活動領域を広げています。江戸時代末期から明治時代初期にかけては、人が多い地域を除けば、北海道全域が生息域であったようです。
大きさはオスとメスとで異なり、オスの方が大きいのが特徴です。
【体長】オス約1.9 ~ 2.3m、メス約1.6 ~ 1.8m。

【体重】オス約120 ~ 250kg、メス約150 ~160kg。

【毛色】褐色から黒色まで個体により様々で、色合いごとに名称が付けられています。夏毛は刺毛で構成され、冬毛は刺毛と綿毛で構成されています。
「金毛」・・・黄褐色系の個体
「銀毛」・・・白色系の個体
「月の輪」・・・頸部や前胸部に長方形様の白色がある個体

【行動】発情期と子育て期以外は単独行動。

【活動期間】春から晩秋・初冬にかけての期間。餌となる植物を得られない残雪や積雪の多い地域にはおらず、植物を採食できる地域に移動します。

【繁殖】発情期は初夏から夏にかけての期間。妊娠期間は約8ヶ月間で、翌年の越冬期間中に巣穴で出産します。産仔数は1 ~ 3頭で、子育てはメスだけで行います。
越冬期間中に出産と母乳による子育てをするため、春になって巣穴から出る頃には、母グマの体重は約30%減少しています。

【新生子】視力や歯などがなく、生後6週目に聴力を得て、7週目に視力を得ます。生後4ヶ月で乳歯が生え、母グマと同じものを食べるようになります。
1 ~ 2歳になると親離れをし、4 ~ 5歳で繁殖できるようになります。
「ビャー」「ピャー」「ギャー」などと鳴き声を発します。

【冬籠り】巣穴に籠る時期は晩秋から初冬にかけての期間。他の個体が前回の越冬に使用した穴を使用することもありますが、基本山の斜面に横穴を掘ります。

【食性】木の実魚類節足動物エゾシカ農作物哺乳類など非常に多様性に富んだ雑食性。

【鳴き声】相手を威嚇する時に「ウオー」「グオー」「フー」などの鳴き声を発声。鳴き声以外にも歯を鳴らしたり、足で地面を擦るなどして威嚇します。

【寿命】メスで最高30歳前後、雄は25~28歳。

生息域の縮小と環境の悪化、過剰な捕殺が衰退をまねき、エゾヒグマの将来は明るいものではありません。
街におりてきたクマに襲われると言う被害も少なくありませんが、本来クマが居るべき場所で生きていける為に、何が大切で何が必要かを、私たち人間がもっと考える必要があります。
この青い地球で、ともに生きて行けるために・・・

ケイマフリ

ケイマフリの名前の由来は、アイヌ語で「ケマフレ=赤い足」を意味する海鳥で世界中に数が減少しています。ケイマフリの繁殖が見られるのは国内では北海道の天売島や知床半島のウトロ周辺のみです。

2005年に世界自然遺産に登録され、ダイナミックな景観や数多くの野生動物が生息している知床半島は日本最後の秘境と呼ばれています。野生動物の楽園として知られ、知床といえば、ヒグマやエゾシカ、シロクマ、オオジロワシ、シマフクロウなど鳥獣類が独自の生態系を築いています。

そんな知床でここ最近注目されている海鳥が「ケイマフリ」です。ケイマフリの特徴は目の周りが白いことと、鮮やかな赤い脚。ケイマフリがウトロで見られるのは繁殖・子育てをおこなう時期だけです。ケイマフリは海に面した断崖の隙間や穴で繁殖をおこないます。

そのため、知床半島ウトロ周辺の断崖は羅臼岳の噴火によってできた溶岩や、流氷や荒波で長年かけて浸食された断崖地形が見られるため、ケイマフリの繁殖に適した環境となっています。

ケイマフリが繁殖のためにウトロにやってくるのは毎年3月から8月にかけてです。

産卵数は通常2個が多く、雄と雌が交代して卵をあたため、約30日でヒナが生れます。親鳥は交代で ヒナにイカナゴなどの餌を運び子育てを行います。ヒナの巣立ちは8月のお盆前後です。かわいいヒナの巣立ちを見たいとお思いでしょうが、ケイマフリは周囲を非常に警戒し、やがて巣立ちが行なわれるため人目に触れる事は本当に稀です。

ケイマフリは主にイカナゴなどの魚を食べていますが、ときにはカレイなど海底近くをおよぐ魚も捕らえます。

ケイマフリは餌を探すために海中に潜水し、まるで飛んでいるときのように翼を動かして泳ぎます。潜水能力はとても高く、ときには70mも潜ることができるそうです。ケイマフリは空を飛ぶ事も出来るし、海を泳ぐ事も出来る海鳥なのです。

またケイマフリは「フィッ・フィッ・ フィー・フィー」と、とても美しい声で鳴くので『海のカナリア』と呼ばれています。

自然豊かな知床でもケイマフリが見れるのはウトロだけです。ケイマフリを観察するのには気候が暖かくなる6月から8月半ば頃が最適です。

巣立ったケイマフリはウトロを離れ沖合に飛び去っていきます。

実は秋頃から春にかけてのケイマフリの繁殖期以外の生息場所についてはまだ良く解っていません。冬はやや移動し、北日本の海上で小さな群れをつくっているのがみられることがありますが、まだまだ謎多き海鳥なのです。

しかし毎年春になると、彼らは再び知床半島ウトロ周辺へ戻って来ます。

エゾオコジョ

体の大きさが14~20cm位の小さなイタチの仲間。

オコジョ自体はユーラシア北部、北アメリカにも生息、北海道に生息しているものは「エゾオコジョ」といわれ主に上川に生息、別名をエゾイタチともいいます。
体は夏の間はチョコレート色で冬になると保護色の真っ白に毛の色が変わります。
ネズミを餌とするが時々自分より大きなウサギやライチョウも食べることもあります。
近年は山岳地帯でしか見られなくなってしまいました。イタチの仲間ですが、イタチよりも小さくどちらかというとフェレットやミンクに近い風貌です。動物園で何度か見かけたことがありますが、二本足で直立不動するすがたはプレーリードックを彷彿とさせる愛らしさですね。

可愛らしい見た目とは違い気性は非常に気性が荒いことでも知られています。
森林、草原、人家のちかくなど様々な環境におりコケや草を敷き詰めた巣をつくる主に夜行性、単独で生活し、主に岩や樹根のすきまに営巣したりネズミの巣穴を乗っ取って自分のモノにすることもあるようです。動きはきわめて敏速で木登りや泳ぎも得意です。
現在日本ではオコジョは捕獲禁止となっているのに、何故オコジョの個体数が減ってしまったのでしょうか?

昔からオコジョは、毛皮として重宝されアーミン(特に冬毛のもの)とよばれ高級品でした、ヨーロッパでは長らく王族の象徴とされてきたといいます。オコジョの毛皮をいくつも並べ一枚にぬいあわせガウンの下地などに
好んで用いたというから贅沢なお話です。
日本に毛皮ブームが起きたときに一気に増えた生産量を賄おうとミンクを移入、その一部が野生化しエゾオコジョの生態系に影響を与え、ミンクによりエゾオコジョの餌は奪われてしまいました、さらに追い打ちをかけるかのように森林伐採により生活する場も奪われていったのです。

一時的なファッションブームにより一つの種が絶滅の危機に瀕している、という事実はオコジョだけでなく種が減ることにより生態系、自然界に与える影響もすくなくはありません。
現在毛皮を規制する動きもありますが、需要がなくなったわけではありません。
冬毛の白いオコジョはマスコットにもよく使われ、アニメや漫画にも度々登場するなど、その愛らしい姿に人気が集まっているといいます。愛らしいオコジョの姿を後世に残すためにも、我々、はブームという一時的な経済活動のために一つの命を犠牲にしている自覚をすべきでしょう。

学名 Mustela ermimea

食肉目(ネコ目)イタチ科

 

シマフクロウ

【学名 Ketupa blakistoni フクロウ目 フクロウ科】
シマフクロウは、全長70cm羽を広げると180cmになる日本一大きなフクロウです。
地元では「コタンコムカムイ」(森を守護する神)や「カムイチカプ」(神である鳥)
と呼ばれ敬われている鳥でもあります。
主に魚やカエルなどを餌としており、主に北海道の北部・中部に生息、森に囲まれた河川や湖沼で生活
天然記念物です。フクロウというとミミズクと違い耳のない丸い顔を想像しがちですが、このシマフクロウはミミズクのように大きな耳を持っているのが特徴です。
鼻から耳にかけて白い毛のラインは眼光をより鋭くみせ、地元で「神」と崇められるだけあり
その風貌にはどことなく強い意志と威厳さえ感じられます。

シマフクロウは極東地域に狭い分布域を持ち北海道および国後島、択捉島、サハリンにも生息、広葉樹の大木の樹洞に営巣します。20世紀初頭までは北海道全域に分布していたのですが森林伐採により、営巣木の減少と河川改修や砂防ダム建設による餌の魚類の減少等により、現在は北海道部の知床、根室、日高地域にみられるようになりました。
生息数は約50つがい140羽(平成22年)で、絶滅の恐れが最も高い絶滅危惧種IA類に指定されています。
シマフクロウは寒冷地を好みます。別名Fish Owl ウオミミズクとも呼ばれています。
主食は魚ですので、冬には川が凍り付き魚を捕らえるのが難しくなります。そんな時は海岸にでて海の魚を捉えることもあるそうです。春先には産卵に備えて体力をつけるため大量発生するエゾ赤ガエルを食べるそうです。

フクロウという鳥は羽音がしない鳥(獲物を逃さないため)なのですがシマフクロウは飛ぶと音がします。
魚を主な餌としているので、羽音がしても獲物に逃げられる心配がないからだそうです。

シマフクロウの繁殖期は主に2~6月でこの間にカップルが誕生することから、夜の森には雄と雌が啼き交わす声が良く響きます。若鳥は鳴き声で相手探しをします雄同士の争いは激しく、場合によっては縄張りと伴侶の入れ替わりがおこります。一般的に太く大きな声で鳴く方がメスに気に入られ勝利をえるようです。

シマフクロウは一度に二つの卵しか産まないため、一度にたくさんの個体が増えるということがありません
そのため一羽一羽を大切に育てていくことが大切になってきます。
ヒナたちは2ケ月たたないうちに巣から出ていきます。しかし、この時期まだヒナはほとんど飛べません、地面におちると木をよじ登りようやく安全な場所にたどり着きます。
この頃が最も天敵であるキツネや野良犬に大変襲われやすいのです。近年では、アライグマが北海道に住み着くようになり一番の天敵になっているようです。日本にいないはずのアライグマを持ち込んだのは人間の責任、現在は調査パトロールを強化して排除に取り組んでいます。

ヒナたちは一年ほどすぎると親のなわばりからでていきます。旅立った若鳥は安全を確保しつつ子育てができる場所を探します。理想の場所を見つけてもたいていは別のシマフクロウの縄張りです。そう簡単に理想の場所はみつかりません。人の手で巣箱をかけたり、給餌池を作ってやることにより、シマフクロウの若鳥を守ってやる必要があるのです。
また、シマフクロウは人里離れて暮らす鳥ではないため交通事故で命を落とすことも少なくありません。

人間の都合により、住む場所を追われてしまいそのため個体数を減らしてしまった、シマフクロウ、その
雄大なる姿をこれからも残すために我々はできるだけのことをしていくことが大切でしょう。

北海道の絶滅危惧種

ホソミオツネントンボ
【トンボ目】【アオイトトンボ科】

“科”を見れば分かって頂けるかと思いますが、俗にいうイトトンボの一種。
私が子どもの頃、夏場に水やりをしていると、どこからともなく飛んできたのが思い出されるのですが、そういうえば、最近見かけない。というか、近頃トンボを見る事自体も少なくなってきたなと感じていたのですが、やはり数が減ってきているのです。
イトトンボの活動範囲は、その小さな身体から考えられない程広く、日本各地で数種類のイトトンボが生息しています。
ですが、イトトンボは環境汚染・水質汚染に敏感なものが多く、今回紹介するホソミオツネントンボも、『北海道レッドデータブック』によると、本州・四国・九州にも分布はありながら、北海道では日高地方の一部で確認されており、残念ながら北海道のレッドデータブック内で「絶滅危惧種」(絶滅の危機に瀕している種または亜種)とされています。

生き物の正式名称は意外と覚えづらいものが多いのですが、実は「細身な越年(おつねん=年を越す)とんぼ」という、そのままの意味を名前にしたもので、そう思えば覚えやすく、更に発音しやすくなってきます。
さて、そんなホソミオツネントンボの特徴はと言うと、夏に羽化し、雄雌同様に最初は枯れ草のよう茶色に身をやつしていますが、冬を越し、春に成虫となると綺麗な瑠璃色に変わります。背中の節目ごとに点々とついた模様が目印。

よく似た姿、よく似た名前で「オツネントンボ」という種類がいます。こちらも年を越すトンボではありますが、成虫となっても身体の色に変化はなく、目だけが瑠璃色に変わり、また、同じくある背中の模様も、注意深く見ると、全てつながっています。

こちらもまた、日本各地での分布がありながら、多数の各都府県でレッドリストに何らかのレベルで指定を受けています。

ホソミオツネントンボに限らず、イトトンボは、小さくて虫が苦手な私でもちょっとした好感さえ覚える可愛らしさがありますが、いつの間にか見なくなってしまった背景には、私達人間からしてみるとそれほど感じない変化でも、実は確実に水質汚染が日本各地で起きているのだと教えられます。

キタサンショウウオ

 キタサンショウウオ

【両生類有尾目】【サンショウウオ科】

日本では北海道の釧路湿原のみに生息が確認されていますが、1795年には釧路市の天然記念物に登録されている程、実物を見る事はとても珍しく、専門家の間でも謎の多い生き物とされているそうです。
北海道にはよく似た日本固有種である「エゾサンショウウオ」も生息していますが、こちらは北海道全土に生息し、また今のところは留意種(=保護すべき種あるいは亜種であるものの、特に絶滅のおれはない)とされています。

キタサンショウウオの体長は12〜16センチ程度、身体の色は茶色で、背中にかけて黄色っぽい筋が入り、前足の指の数が4本ずつ。
対して、エゾサンショウウオは少し小さめで、身体もほぼ茶色の一色、前足の指は4本、後ろ足の指は5本。
両者は、他にも卵に違いがあり、エゾサンショウウオはカエルの卵のように無色透明ですが、キタサンショウウオの卵は薄く青みがかった透明、ブルーライトで照らすと光りだしそうな綺麗な色味をしています。

釧路湿原以外では、ロシアのサハリン・中国北東部・朝鮮民主主義人民共和国北部など、高緯度な土地が多く、冬眠中も−23度になっても数日は生きる事が出来るという、寒さに対する耐性の強さを持っているそうです。
また、生活する場所は、湿度が高い場所が適していて、そこでミミズやクモなどを食べ、オスは3年・メスは4年程かけて生体へと成長し、繁殖期になると水の中に入るようになるそうです。
両生類なのに、水の中に入るのが時期が限定されているとは、ちょっと驚きです。
一生が10年程度なのに、その殆どを陸の上で生活しているため、鳥やキツネが天敵となってしまいす。

ですが、キタサンショウウオがレッドデータリストの入っているのは、鳥やキツネのせいではないはずです。
年ごとに生む卵の個数にバラ付きがあったとしても、一度に100〜300個の卵を生む事に変わりなく、天敵に襲われたとしても、それは食物連鎖の範疇と言えるでしょう。

数が減り、珍しい生き物になってしまった原因は、道路工事などによる水位の変化や生息地の減少によるものです。
そう、つまり我々人間の生活のために被害を受けているのです。
「他の生き物の数を減らしてやろう」などと思っているわけではないのですが、とても残念な事です。
他の種を絶滅させて良いかどうかの権限を一体誰が持っているのでしょうか?他の生物でも言える事ですが、今以上に数が減り、“絶滅種”にならないためにも、まずはキタサンショウウオについて知る事が最初の一歩になるはずです。

 

エゾノクサタチバナ

 私、この花が好きなんです。エゾノクサタチバナ。珍しい緑色の花です。

あれは幼稚園の頃、みんなで塗り絵をしていたんです。当時の私のお気に入りはカラフルだったので、お父さんの顔もお母さんの顔もピンクや水色で塗っていたんですが、私は沢山ある花を全部別々の色で塗ったんです。色鉛筆を順番に使って、緑や茶色、黒も使って花を塗りました。

すると当時好きだった女の子が寄ってきて「このお花、変なのー」と緑の花を指差したんです。周りの友達も「ほんとだ、変なのー」と言い始めました。でも茶色の花は「枯れてるだけだから変じゃない」という評価を受けました。

別にたいしたことじゃないんですが、なんか恥ずかしかったし、ショックだったので覚えていました。

 その数年後、もう一回同じようなことがありました。小学生の頃、図工で花の絵を描いたんです。その時に、私は輪郭を緑色の絵の具で描いていました。茎とか葉っぱはそのまま一本の線で表せるから。それで花の輪郭も緑で描いていて、ある時細かく描きすぎて塗り潰しちゃったんです。

 で、まあ普通に塗ったことにすればいいやと思って描き進めていったら、やはり言われたんです。今度は先生に。「ここは緑じゃないでしょう」と。

 でもその時既に私はエゾノクサタチバナを知っていたので、直しませんでした。なんか子供の頃のこういう記憶って不思議ですよね。どうでもいいことなのに、なんだか無性にこだわっちゃったりして……。

 そんな思い出から、エゾノクサタチバナは思い入れのある花なんです。でも絶滅危惧種になっているなんて知りませんでした。道内の大部分の生育地で、生育条件が悪化しつつあるようです。

 東京では育たなかったという話も聞いたので、もしかしたら生育条件が厳しいのかもしれません。気候の問題かもしれないけれど、やはり北海道で力を上げて取り組むべき問題のようです。

この花は、日本では日高山系、夕張山系、狩場山系、阿寒山系、渡島に分布しています。あとは海岸沿いの原生花園でも見られるそうですよ。

ちなみに原生花園とは人為的な手を加えず、自然をそのままにした状態でも色鮮やかな花が咲く湿地帯や草原地帯のことです。自然のお花畑とも言える場所で、独特の植生が見られます。そのため北海道旅行客にとっては目新しく、関心を引くこともしばしばです。

 星型の花はチャームポイントで、エゾノクサタチバナが属するガガイモ科のものによく見られます。同じ星型の花を付ける植物にカモメヅルがありますが、こちらは紫色なので印象が異なってきます。

 エゾノクサタチバナの花は7月に咲きますが、夏に星型の花を咲かせるなんて、なかなか季節感のある植物だなと思います。これだけ聞くと南国の花のようなイメージを与えるかもしれませんが、実物を見ると、とても素朴な優しい雰囲気の花で、いかにも北国という感じがします。

 名前は「タチバナ」と付きますが、これは見た目が似ていることから付けられただけで、特に関係性はありません。

 

リシリヒナゲシ

近年、環境問題が騒がれるようになってから「レッドデータブック」という言葉も耳にするようになりました。これは絶滅の恐れのある野生生物の種をリストアップし、その生息状況を解説した資料のことです。

1966年に国際自然保護連合(IUCN)が絶滅の恐れのある野生生物のリストを刊行し、その後世界各国で国内版のレッドデータブックが作られました。

 このデータブックには哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫類など様々な動物の他に、植物もピックアップされています。今回はその中から、北海道の植物を紹介したいと思います。

 リシリヒナゲシという花は、「IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」である「絶滅危惧IB類(EN)」に登録されています。

 

 これまで動物の絶滅危惧種に焦点を当て、いくつかの生物を紹介しましたがそのほとんどが、ペットとして個人で飼うことのできない動物でした。そのため絶滅の危機にあるからといって、自宅で繁殖、というわけにもいかず、支援活動はできても実際の繁殖や飼育は専門家に任せるしかない状況でした。

 

 しかし植物となると話は別で、特別なものを除けばタネを販売元から入手し、自宅で育てていくことができます。たとえ万が一にも自生するものがなくなってしまっても、支援者が頑張ればその種を繋いでいくことができるのです。そう考えると、広い範囲で多くの人が同時に協力できるので、問題は解決しそうな気がします。

 

 しかし、大事なのはただその花が咲いていることだけではなく、やはり自生するものがあるかどうかなのです。そもそも、本来そこにあるべきものが自生できなくなるということは、環境が悪くなった、もしくは種の方に異変が発生したということです。その時点で問題は深刻です。

 

 このリシリヒナゲシも、自生のものは利尻山の山頂付近にしかありません。利尻山とは北海道北部、日本海上に浮かぶほぼ円形の利尻島にある山です。

 

日本最北の島に美しい姿を見せる利尻山は別名「利尻富士」とも呼ばれます。山頂からの景色をさえぎるものは何もなく、360℃の大パノラマが楽しめます。日本百名山百選にも選ばれているので、北海道旅行で立ち寄るにもおすすめです。遠くの景色を堪能したら、足元の小さな花にも注目してみて下さいね。

 

リシリヒナゲシはケシ科ケシ属の多年草、利尻島の固有種であり、日本に自生する唯一のケシの仲間です。野生のヒナゲシは世界で唯一種、とも言われます。

 

透き通るような黄色い花は繊細で、守ってあげたくなるような雰囲気を出しています。いや、本当に守っていかなきゃいけないところなんですけどね……。

 

幸いなことにタネがつき、よく増える種なので、島の平地のあちこちでも観光用に咲かせています。よってその姿は至るところで見受けられますが、自生のものが絶滅の危機に瀕していることは忘れてはいけません。

 草丈は10cm~20cmくらいです。茎先に黄色い4弁花を1輪つけますが、それは薄く可憐な印象を与えます。北海道の雰囲気にぴったりの可愛らしい花なので、この花の住める環境を守り続けたいと思います。

イトウ

まるで人の名前のようなイトウ。漢字で書くと伊富魚だそうです。また「魚偏に鬼」と書いてイトウと読むという話も聞きますよね。でも辞書にもパソコンの文字にも「魚鬼」という字は載っていませんでした。鬼のような魚……なんか少しカッコいいですけどね。

さてこのイトウは、日本では北海道にのみ生息しています。昔は青森など本州北部にも分布していたそうですが、今は北海道の道北や道東の湿地帯の河川や湖沼などに生息するのみです。北海道の南限として道央の尻別川にも生息しているらしいのですが、個体数の減っている現在、どれだけの数が生存しているかは不明です。

イトウは汽水・淡水魚類サケ目サケ科です。そう、サケの仲間なんですね。しかし産卵を終えると死んでしまうサケに対し、イトウは15~20年以上生きて繰り返し卵を産みます。産卵時期にオスは、えらの後ろから尾びれにかけ、とても美しい朱色になることは有名な話です。

イトウは川の上で産卵するため、毎年上流と下流を行き来しなければなりません。それを一生にうちに何度も繰り返すとなると大変なことですね。

生まれてから2年ほどは周辺の地で、林のある曲がりくねった川の岸寄りに住んでいます。特に、浅く流れの緩やかな場所が必要です。成長後は河口近くや下流の深い淵で他の魚を食べて暮らすようになります。

 しかし、至る所で川の直線化工事や、ダムの建設工事、大きな堰を造る工事が行われました。すると川の流れが急になるなどの変化が起き、イトウの生息地はたちまち減ってしまい、産卵場所にも辿り着けない状況が出てきました。そうして北海道のどこにでも、いつでも沢山いるような親しみ深い魚だったイトウが、絶滅の危機にさらされることとなってしまったのです。

イトウは川や湖で生きる淡水魚としては国内最大サイズで、過去に体長2.15m、約26kgの巨大イトウが捕獲されたこともあります。あの顔で2m以上あったら怖いと思うんですが……(笑)

歯は鋭く、アゴの力が強いため小魚やカエル、ヘビなどを食べることもあると言われます。

こんな強そうな魚ですら、急激な環境変化には耐えられないということです。川や湖などの「主」と呼ばれたイトウが、本当に幻になってしまうのは非常に残念です。そうさせないためにも、これ以上の環境破壊を起こさないことと、メーター越えにこだわって乱獲をしないことです。

巨大なイトウは釣り人にとって伝説であり、夢や憧れであり、ライバルです。私も北海道に住む者として、釣りをする時は巨大イトウを狙いたいと考えていました。北海道旅行に来た友人も、せっかくこの地に来たからにはイトウに出会えないかと観光そっちのけで釣りに行っていました。

しかし、それは健康な環境状態の中に、豊富なイトウがあってこその話です。現在のこの貴重なイトウに手を出すのではなく、イトウの危機を救った後、この北海道の地に沢山泳ぎまわるイトウと勝負がしたいものです。